波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評「目」

鶺鴒よ あなたを涙を纏うべくうつくしい目にまた還ろうか
       小林 朗人 「帰蝶」『京大短歌22号』 

難解だけれど美しい一連だな、と思いながら読んでいました。
全体的に別れ、喪失がモチーフになっているようです。

初句で「鶺鴒」という小さな鳥に呼びかけてから
「目にまた還ろうか」で締めくくっています。

「あなた」を映すため、「涙」を流すため
「目」というものを見るための器官に戻っていく、
とは果てしない循環を思わせます。