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波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評「パラソル」

一首評

パラソルが弾ける刹那呼びかへすその陰謀のふかく愛しき   *弾ける=はじける
        紀野 恵 『La Vacanza』 

 

Vacanza=休暇、という意味のタイトルを持つ連作のなかの一首です。

最初に読んだ時には「陰謀のふかく愛しき」の
「の」がとても気になったのです。
「愛しき」が動詞なのか形容詞なのか迷ったせいでしょうね。
「愛しき」は形容詞の連体形だろうな、と考えると
落ち着きました。(でも違うかもしれない・・・)

パラソルと聞くと夏のイメージがあります。
パッと開かれるパラソル、
その短い時間に錯綜する感情に
「陰謀」をいう語を与えるのは
とてもドラマチックです。

弾けるパラソル、その弾みのある様子に
抑えきれなくなった感情を読み取ってしまい、
忘れがたい一首です。