この朝のかなしみをかたはらに置きて練り香水を指にとりたり
横山 未来子 『午後の蝶』
練り香水、というアイテムにとても惹かれて気になった一首です。
パッケージもすごくかわいいんですよね、練り香水。
なにか悲しいことがあって、まだ気持ちは引っ張られているけれど
それでも朝の身支度をしている様子でしょう。
練り香水がお守りみたいな意味をもちます。
指はさまざまなものと自己が触れ合う接点になる部分です。
気持ちよりもさきに現実に合わせていこうとする指の動きが
せわしない、けれど仕方ないと思う。
こんな風に日常をやり過ごしてきたことを
読んでいる人も自分のなかで再生するのでしょう。