波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「バラ」

贈りたきわたしのバラの四、五本のわたしを除いた部分を贈る

     渡辺 松男 「まぶたと息と桑の実のジャム」

 

 

今回は角川「短歌」8月号の巻頭作品から。
「わたしのバラ」というと自分の庭で育てたバラみたいなイメージがあるんですけどね、
贈るにあたってわざわざ「わたしを除いた部分」という発想はなかなか出ないんじゃないかな、と思います。
たいていの人ってわたしが選んだとかわたしが育てたとか、その辺をぐいぐい出すケースが
あるんですが、渡辺松男さんならあんまりそういう押しつけがましい発想が出てこないのかな、と
妙に納得したのです。

実際には、わたしを除くということはまず無理だろうと思いつつ目に留まった歌です。