2015-06-29 一首評 「アメンボ」 一首評 アメンボの肢の下には滅ぼされ水に沈んだ僧院がある 吉川宏志 「吉川宏志集」 今日は梅雨の合間のいいお天気でした。昔は水たまりでよく見たんだけどなぁ、アメンボ。アメンボのあのほそーい肢のしたに、かつては立派だったろう「僧院」があるという歌。はじめて読んだときにはその不吉さにどきっとしたものです。些細すぎて、ほとんどの人は気づかないようなところに存在する、かつての繁栄の名残や失った過去の存在に戦慄してしまうのです。