波と手紙

小田桐 夕のブログ。塔短歌会に所属しています。         ゆふぐれはあなたのなかに沈みゆくとほき国だと気づいてしまふ

一首評 「アメンボ」

アメンボの肢の下には滅ぼされ水に沈んだ僧院がある
     吉川宏志 「吉川宏志集」

 今日は梅雨の合間のいいお天気でした。
昔は水たまりでよく見たんだけどなぁ、アメンボ。

アメンボのあのほそーい肢のしたに、かつては立派だったろう「僧院」があるという歌。
はじめて読んだときにはその不吉さにどきっとしたものです。
些細すぎて、ほとんどの人は気づかないようなところに存在する、
かつての繁栄の名残や失った過去の存在に戦慄してしまうのです。