雨はやみたとえばひとの声のするくろい受話器のような夕闇
江戸 雪 「江戸雪集」
ぱらぱらとページをめくっていて目が留まったのはこの一首。
携帯電話やスマホが当たり前になったので、
「受話器」っていう言葉はいまはかなり印象が薄れたかもしれません。
オフィスには電話はありますが、アイボリーとかベージュとか
淡い色が多いですね。
黒い電話と、重みのある受話器ってむかしの家には存在していましたね。
雨が止んだのちの「夕闇」のながい比喩として出てくる「受話器」、
そして「声」には、あまり明るい感じはしません。
雨音が聞こえていた間はあまり気にしなくてよかった「声」が
いまになってじんじんと響いてくるのでしょうか。