波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

2017-04-30から1日間の記事一覧

一首評 「金貨」

金貨のごときクロークの札受け取りぬトレンチコートを質草として 光森裕樹『山椒魚が飛んだ日』 トレンチコートをクロークに預けるときに質屋に預ける品物を指す「質草」とは面白い表現です。クロークの札が「金貨」を思わせるものだったことからの連想でし…

塔2017年4月号 5

ここがもう境界なのだ 花花に埋もれし君のほほえみ固し 佐々木 美由喜 168 初句と二句では何のことかわからないのですがそのあとでだれか亡くなった人がいるのだ、とわかります。相手は固いほほえみで花に埋もれている。生きているものとすでに死んだものと…