波と手紙

小田桐夕のブログ。好きな短歌について。

一首評 「ひかり」

教室はいやおうもなく春となり壁に押したる画鋲のひかり    

    大辻 隆弘(辻はしんにょう一つ)「蘇枋」『景徳鎮』 

教室にとって春は特別な季節。

新入生が入ってきて、また新しい年度が始まる区切りです。

教師を長年やってきた作者にとっても

新しい1年のスタートの時期になります。

「いやおうもなく」というところに

容赦なしに流れていく時間の力を感じます。

教室の壁には掲示のために、お知らせとかポスターが貼ってあるのでしょう。

紙を止めるために隅にささっている画鋲という

小さなアイテムに反射する春のひかり。

小さいながら金色に光る存在感の強さ。

生徒にとっても教師にとっても

新鮮さや不安のある空間の様子を

「画鋲のひかり」でイメージさせている点に惹かれます。

 

     *

先日、『景徳鎮』について「月と600円」で読書会を行い、

1冊の本についてあれこれ考える機会をいただきました。

いろいろ調べるのが面白くて、いい機会だったと思います。

 

塔2018年3月号 4

特別作品についてはいろんな意見があるようで、

もう少し評もたくさん載せて欲しい、とは

私も前から思ってはいます。

そうはいってもページ数の関係とか仕事の分量とか

いろいろあって難しいのだろう、とも思います。

またそのうち作りかけになっていた連作、送ろうかな。

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塔2018年3月号 3

特別作品といえば、2017年の年間優秀作が発表されていました。

今回は「琥珀に染まる」という連作で

優秀作に選んでいただきました。

ありがとうございました。

もともとこの連作は京都にある喫茶店六曜社に

行ったときをイメージして編んだ連作でした。

塔短歌会が発行している塔事典にも「六曜社」の項目があり、

塔の会員さんにもなじみの喫茶店だったようで、

それを踏まえた歌も数首入れていたのですが、

選の段階で削られていたなぁ・・・。

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塔2018年3月号 2

塔3月号の作品1から。

そういえば、特別作品欄には今回は4作品が載っています。

見やすいので、このくらいの掲載数でいいかもしれないですね。

まぁ、そのぶん選考結果が厳しくなって

掲載されない作品が増えるんですが・・・・。

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